2025/11/13

令和7年度行政書士試験解答速報作業に参加して(改訂)

※問題30を全面改訂しました。 

11月9日の行政書士試験の解答速報の解答出しをするために、久々に辰巳に出社しました。私は民法の択一5問を解答、うち4問の解説を書きました。以下、5問だけですが、その感想です。なお、予備校を代表する見解ではなく、あくまでも私個人の見解です。

 問題27 行為能力

 すべて条文どおり、しかも正解肢(誤り肢)以外完全に条文のコピペ。司法書士受験生の基準点越えレベルの者ならすぐに正解できる非常に易しい問題で、行政書士プロパーにとっても、易し目の問題だと思います。

 問題28 代理

 任意後見を出したのは反則だと思います。司法書士受験生にとってもやや難といったところですが、基準点越えレベルの者でしたら、何とか正解できた人が多かったのでは、と思います。行政書士プロパーにとっては、難問だったと思います。

 問題29 即時取得

 司法書士受験生にとっても、行政書士プロパーにとっても、易しい問題。記述エの「丁はAからBに寄託されているものであった場合」は、意味不明。おそらく、元の問題にあった記述であり、現在の問題に作り変えている最中に、削除し忘れたものと思われます。作成者本人が気付かなかったのも問題ですが、チェッカーが気付かなかったのも大問題です。チェックにかける人数が少ない可能性もありますが、かなり杜撰な体制での制作なのかもしれません。

 問題30 担保物件中心の事例問題

 一見、難問ですが、記述4,5につき、令和5年問題29の記述4,5と根拠が同じです。正誤逆転させていますが、記述4,5がそれぞれ同一根拠、しかも、同様に、記述5が正解肢でした。司法書士受験生であれ、行政書士プロパーであれ、過去問をやりこんでいた者にとっては、十分正解可能であったと思います。問題27,35が条文コピペだったことも含め、作問が少々手抜きのようにも思います。 ※令和5年問題29も私が解説を書いたのですが、令和7年問題30の解説を書きながら、記述5は前も書いたことあるような…似ているけれど別の判例かな、と思っていたのですが、同じ判例でした。もっと早く気付くべきでした。失礼いたしました。

 問題35 認知

 これも問題27同様、すべて条文どおり、しかも正解肢(誤り肢)以外完全に条文のコピペ。司法書士受験生であれば、基準点をやや下回る者ですら秒殺できる超サービス問題。現行の行政書士試験では未出のため、これをマイナーテーマとする方もいらっしゃるようですが、認知の基礎知識がないと、相続や離婚協議書の作成の業務は行えません。たまたま出ていなかっただけで、行政書士にとっては、超重要テーマです。実際、リーダーズ・辰巳のテキストでは、Aランクにしており、Aランクを精読していた受験生であれば、行政書士プロパーでも、正解できた可能性が十分あります。こういうところで差が付きます。

 記述は問題を見ていませんが、以下、予備校の解答例を見た感想です。 

 問題45 民法110条の直接適用ではなく、趣旨類推という、超重要判例。

 私が行政書士試験の記述式民法の作問を始めたのは平成30年向け講座からですが、その年の直前記述対策講座で、ズバリな問題を出題しています(令和2年の第三者詐欺も、この年のこの講座で出題しています)。諸事情で翌年以降は出題しませんでしたが、私にとっては、まあ、出てもおかしくはないよね、という出題です。ただし、代理は令和4年に記述式で無権代理の相続の判例が出ており、次に代理が出るなら無権代理の改正条文かと思っていたのですが、3年後にまた判例が出たのは驚きでした。近年、周期性による予想がつきにくくなっています。話はそれましたが、この判例は、近年の択一式では出ていませんが、超重要な判例なので、リーダーズ・辰巳のテキストでは、Aランクにしており、Aランクを精読していた受験生であれば、及第点を取ることができた可能性が十分あります。この問題はできが悪いようですが、結局、そこまでやって初めてやるべきことをやってきたといえると思います。

 問題46 事務管理

 事務管理は今年の直前記述対策講座でも出したのですが、別論点でした。択一式で令和元年、平成23年、22年と繰り返し出題された論点なので、過去問の正誤を肢単位で正確に記憶し、解説を精読した者であれば、及第点を取ることは難しくなかったと思います。

 記述式は、2問とも、司法書士受験生の基準点越えレベルの者でしたら、十分及第点が取れるかと思います。行政書士プロパーは、テキストのAランクを精読していたかどうかでしょう。問題35の認知の択一式も含め、そういうところで差が付くかと思います。

 雑感としては、司法書士受験生の基準点越えレベルの者でしたら、やる気があって、退屈な行政法さえクリアできれば、発表待ちの間に、十分合格することが可能かと思います。やはり、行政書士プロパーよりも、かなり有利です。また、私が合格した旧試験の方が、記述式(当時は論述)や一般知識(当時は一般教養)に手間と時間がかかったことと比べると、現行試験の方が、司法書士受験生には有利かと思います。