既婚者同士の不倫を、W不倫と呼びます。ここでは、夫が既婚女性と不倫関係にある場合を想定します。この場合、妻は夫とその不倫相手の女性に慰謝料を請求することが可能です。ここで忘れてはならないのが、相手女性の夫は、その妻である相手女性だけでなく、不倫をした夫にも、慰謝料請求が可能であることです。
この例で、不倫相手の夫がまだこの不倫に気づいていない場合、夫に言わない代わりに、相場よりも高額な金額で示談にする、というケースは多々あります。しかし、これには大きな落とし穴があります。それは、後に不倫相手の夫が、妻の過去の不倫に気づいて、不倫をした夫に、慰謝料請求を行う場合があるということです。意外とこのような場合は、少なくありません。隠していた示談書が見つかる場合もありますし、一般家庭で高額な慰謝料を払うと、家計のどこかで無理が生じることにより、不審に思った配偶者が色々と調べて、発覚したりします。
相談を受けた者からの相談なので、詳細まではわかりませんが、私が相談を受けた事案では、夫の既婚女性との不倫において、男女間トラブルに精通していない弁護士が依頼を受けて示談書を作成したようで、離婚しないにもかかわらず、あり得ないような高額な示談金が、専業主婦である不倫相手の女性から支払われました。その後、その女性の夫が妻の不倫に気づき、同額の慰謝料を、不倫をした夫に請求してきました。当該不倫をした夫には、その金額を支払う能力がなかったため、結局のところ、男女間トラブルに精通していない弁護士が関与したことにより、問題がより大きくなってしまいました。
逆に、こちらは離婚しないので、それほど大きな金額ではない示談をしたところ、後に不倫が発覚した先方夫婦は離婚するため、より大きな金額を請求してくる、という場合もあります。
W不倫には、このような難しさがありますので、是非とも、男女間トラブルに精通した法律家に相談することをお勧めします。
※W不倫について、ブログ記事を書きましたので、ご参照ください。