2025/6/7
|
|
超直前期の択一式学習は、何だかんだ言って過去問 |
|
資格の勉強は、過去問を中心とした演習派と、テキストの読み込み派とあり、受験生が各々自分に合う方法で良いかと思います。テキストを暗記する手法もあるようですが、私は典型的な演習派で、テキストの読み込みは、殆どやりませんでした。大昔、一時期はテキスト派だった時期もありましたが、もう長い間演習派で、司法書士試験に合格した年は、そもそも基本書を所有していませんでした。近年、資格試験全般において、比較的少ない時間で結果を出す人たちのトレンドは、テキストをあまり読まない演習派だとは思いますが、人それぞれで良いと思います(行政書士記述式だけは、マイナー論点が出題されたときでもキーワードを書けるよう、演習派の人でも、テキストの精読はやった方が良いと思います)。 テキスト読み込み派の人には参考にならないので、以下、演習派の人のみを対象に書きます。問題は、超直前期に、「何を解くか」です。ここでやらない方が良いのは、答練・模試の択一式の繰り返しです。私がLの司法書士課で教材制作をやっていた頃、隣が弁理士課でした。その時、弁理士課の看板講師が、「直前期に短答式の答練の問題を繰り返し説くのは最悪。それをやると、勘が鈍る。やっぱり、直前期こそ過去問。」と、弁理士課の教材制作スタッフに、力説していました。実はその一年前、私は、勤務していた司法書士事務所の経営が行き詰ってリストラになったのを機に、毎日自習室にこもって専業で勉強していたのですが、時間があったので、過去問もきちんと解いていたものの、直前期に、Lの答練と模試を暗記するまで繰り返しました。結果、その弁理士課の講師の言う通り、本試験では勘が鈍り、思うような点数が取れず、不合格となりました。 では、何故、直前期に答練や模試の問題を繰り返し解くと本試験で勘が鈍るのか、私見を述べます。まず、試験委員も、毎年、毎年、ゼロからすべての問題を作成できません。そんなことは物理的に不可能です。ベースは過去問のデータを使っているはずです。それにその年に初めて出題する知識も盛り込み、アレンジしながら、作成しているはずです。教材制作者として過去問を精査していると、はっきりと過去の流用と思われる問題もあります。また、過去問の知識だけでは正解できなくても、その応用で解ける問題は多いです。勿論、過去問の応用でも解けない問題もありますが、そのような問題が多すぎると、予備校や受験生から非難の声が出ます。ですから、過去問から極端に離れた問題、つまり、過去問の応用では解けない問題は、少ししか出せないのです。つまり、試験委員は、過去問をベースにし、過去問から大きく逸脱する問題はごく一部にするよう気にしている以上、試験委員自身が、過去問を研究し、過去問の感覚を持って、作問しているのです。試験委員自身が、過去問の感覚を持って作問している以上、直前期に過去問以外の問題を繰り返し説くことにより勘が鈍るのは、当然ともいえます。つまり、直前期の過去問演習の意味は、知識の源泉という意味以上に、試験委員の感覚を持った上での法的思考(リーガルマインド)を養うため道具という意味が強いと思います。ただし、模試や答練も、やりっぱなしで復習しないのはお勧めしません。正答率が高いのに落とした問題は復習すべきですし、最新の判例、通達、改正法は、押さえておいた方が良いでしょう。しかし、すべての問題を暗記するまではやるのは、本試験で勘が鈍るリスクがありますから、やる必要はないでしょう。 本年の司法書士試験まで1か月を切りましたが、超直前期こそ、過去問です。極端に古い過去問は、電子データの互換性の問題もありますから、滅多に出題されません。私は午後マイナーが20年分、会社法・商登法が12年分、それ以外は18年分しかやりませんでしたが、まあまあ高い点数で合格できました。昭和の終わりから平成初期に出題された、司法書士法の公共嘱託登記司法書士協会は危ない気もしますが、私個人は、古い過去問は、気にする必要はないかと思います。20年を超える期間出題されていなかった過去問の知識が出題されて、その知識を知らなくて落としても、せいぜい1問で、合否に差は付きません。 また、私が使っていたのは肢別のみ、年度別も所有していましたが、時々解説を参考にするのみで、結局、やりませんでした。あたかも最後は年度別過去問をやるのが凄い効果があるような言い方をする合格者もいますし、やれればベターだとは思いますが、肢別だろうと、項目別だろうと、とにかく直前期に過去問学習をやっていれば、決して、最後に年度別をやらなくても、本試験で取れる点数に差はないと思います。 直前期に何年分解くか、どんな過去問集を使うかは人それぞれですが、何だかんだ言って、超直前期ほど、択一式の学習は過去問であると、私は思います。 |
|