2025/5/18

試験は「出たとこ勝負」でいい

 難関資格の合格体験記を読みますと、合格した年は、さも無駄のない充実した一年を過ごしたように思えるものが多かったりします。でも、現実には、そんな合格者はごく一部だと思います。以前にも書きましたが、合格体験記は、「良心的な人でさえ2割増し」です。皆、自分の偉業にケチを付けないために、自分に都合の悪いことは書きません。ですから、合格者は皆、最後は充実した一年を過ごして合格している、と思わなくても大丈夫です。

 私が合格した前年の令和2年は、コロナ騒動最初の年で、試験が9月に延期されました。私は、年齢的な焦りから、令和2年の司法書士試験終了後、すぐに11月の受験に向け、民間FPの上級資格である、CFP®の勉強を開始しました。コロナの定額給付金の10万円に少々上乗せし、LECのCFP®の講座を、ネット通信で全科目受講しました。しかし、平成21年秋に2級FP技能士に合格してから11年後では、ブランクがあまりにも大きすぎました。それに、CFP®は、2級FP技能士やAFPとは、予想以上に、難易度が違い過ぎました。2級FP技能士を、フルタイムで働きながら10週間で合格したので、CFP®は、気合を入れれば1か月半ほどの勉強で合格できるだろうと、6科目全て受験申し込みをし、講座を受講しましたが、甘すぎました。結局、一通り全科目の基本講義を1.5~2倍速で聴いたものの、過去問解析講座は少ししか視聴できませんでした。そして、2科目に絞って受験したものの、全く歯が立たず、受験料や過去問書籍代を含め15万円近くの金額と、1か月半以上の時間を無駄にしてしまいました。

 CFP®試験の1週間後に全経基礎簿記、更に1週間後にITパスポートを受験し、こちらは合格、これにより自分の勉強方法に自信が持て、令和3年の司法書士試験合格に繋げることができました。しかし、令和2年の司法書士試験から令和3年の試験までは、9か月しかありません。2級FP技能士とAFP取得から11年後、働きながら1か月半でのCFP®全科目の講座受講と受験という無謀な行為は、時間とお金を無駄にし、まあまあダメージを残しました。私は、決して、前年の司法書士試験受験から、充実した9か月を過ごして合格したわけではないのです。

 私は、試験なんて出たとこ勝負で十分だと思っています。仕事や健康上の問題、家庭の事情など、受験勉強を阻害する要因は、いくらでもあり、一年を充実させて受験に挑むのは、なかなか大変です。また、受験回数を重ねて疲弊し、気乗りせず、ダラダラとした勉強をし、身になる勉強はあまりしてこなかった場合もあるかと思います。しかし、試験は不正行為をしなければ、何をやっても構わないのです。何も、充実した一年を過ごしていなくても構いません。試験前日までに、ざっくりと、「まあ、これで合格最低点は取れるだろう。」といった程度の形ができれば良いのです。「試験は出たとこ勝負でいい」と割り切り、後悔することに時間を費やさず、どうしたら1%でも高く合格最低点が取れる確率が高くなるかのみを考えて、試験までの時間を過ごしていただきたいと思います。