2025/5/3
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試験直前期は見切り千両 |
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司法書士試験まであと2か月、以前私が書いた直前期の絞り込みの記事を読んでくださった方は、既に量を絞り込んでいるかと思います。そこで冷静に現状を振り返ってみていただきたいのですが、その絞った量を、着実にこなせているでしょうか。こなせていたら素晴らしいことですが、多少なりとも遅れている、あるいは、絞り込んでみたものの、それでもかなり遅れている場合には、対処が必要です。いずれにせよ大切なのは、「確実にこなせているか」なのです。大幅に遅れていれば、更に絞り込むのは勿論のこと、遅れの幅がそれほど大きくなくても、更に絞り込んだ方が無難でしょう。 試験に向かうのに大切なことは、「やり切った感」のある自分を、試験会場に連れていくことです。以前の記事にも書きましたが、出題可能性のある根拠のはっきりした知識量を10とし、最も多い知識量を有する合格者の量を9、合格者の平均を7.5、運に関係なく合格できる最小量を6、強運に恵まれれば合格できる最小量を5.5とすると、合格するには、6で十分なのです。実は、ビリで合格出来れば良いと割り切れるのなら、必要な知識量は、かなり絞れるのです。おそらく、私の記事を読んで、それなりに絞り込んだ方でも、6や6.5まで絞り込んだ方は、少ないのではないでしょうか。しかし、試験2か月前で、絞り込んだ量もこなせていないのでしたら、再度絞り込む必要があります。試験3か月前に絞り込んだから、これより減らすのは怠慢だ、もう減らせない、と思い込む必要はありません。試験は不正行為さえやらなければ何でもありですから、結果さえ出せれば良いのです。何度も絞り込みをやることに、罪悪感を抱く必要はありません。これから試験まで、進行具合が順調とは言い切れないのでしたら、何度も量を見直し、大胆に絞り込みをかけてください。 量の絞り込みが不十分な場合、どうなるか。目を通した知識量が多くても、定着率が中途半端ですと、不安感や挫折感を抱いたまま試験に挑むことになり、力を発揮できませんし、現実に知識の定着がイマイチな問題に出くわすと、「あの時あのテキストをもっと読み込むべきだった」等、試験の場で反省をしてしまうのです。しかし、着実にこなせる量に絞ってそれをこなして、「知識量は少ないけれど、やれることはやり切った。身に付けた知識以外の問題が出れば、その場で考えればよい。基礎さえしっかり身に付いていれば、その場で考えてもある程度応用問題も正解できるし、基礎の応用で正解できない問題は、合否に差が付かないから、落としても構わないだろう。」そんな心持で試験に挑めれば、少なくともビリで合格できる可能性は、十分あります。また、仕事が忙しく5.5の知識を身に付けるのがやっとでしたら、何とか5.5の知識だけでも死守して、試験に挑むのです。5.5の知識しか身に付けなられなかったことに、罪悪感を抱く必要はありません。少なくとも土俵には乗れますし、反省するのは、試験終了後で十分です。 ここから先は、見切り千両です。いかに早く損切できるかです。試験3か月前だけでなく、2か月前、1か月前等、随時見直し、必要があれば量を更に絞り込んでください。私が合格した時は、試験18日前に、全体の進行具合を俯瞰した上で、記述式の問題は気になる論点をチェックするのみで、問題を解くのを止め、午後マイナーの勉強時間を増やしました。直前3週間弱の期間、記述式の問題を解かないのは、勇気が必要です。私は記述式が得意でしたが、珍しく合格前年は、不登法で枠ズレを起こしました。記述式は模試の成績も良かったこともあり、慢心して検討が雑になっていたのだと思います。その前年の失敗を考えると、直前3週間弱に記述式の問題を解かないのは、本当に勇気が必要でした。しかし、私の現状で、1%でも合格の可能性を高めるには、午後マイナーに力を入れるべきだ、昨年の記述式は検討が雑になって失敗したけれど、自分の実力と能力なら、検討が雑にならなければ記述式は大丈夫だと判断し、勇気を持って、記述式の問題を解くのを止めました。結果は、午後マイナーが満点、記述式も大きなミスなく、合格者の平均よりも高い点数、総合でもまずまずの点数で、余裕をもって合格することができました。もし試験18日前にそれほど午後マイナーに力を入れず、記述式の問題を解くのを止めない決断をしていれば、おそらく不合格だったでしょう。あの時、勇気を持って決断して、本当に良かったと思っています。 苦手分野は受験生によって違いますから、直前期にどこに力を入れるのかは、人それぞれです。しかし、直前期こそ、早め早めの損切をし、見切り千両を心がけていただきたいと思います。 |
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