2025/4/13
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「今年合格できなければ試験を止めるつもりだった」はタチの悪い美談 |
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「今年合格できなければ試験を止めるつもりだった」 合格体験記、体験談で、時折目にするフレーズです。背信の陣でようやく結果が出た、ドラマチックであり、本当にそういう気概で受験し、最後に結果が出れば、使いたくなるのもわかります。でも、本当にそういう気概で受験し、合格できなかった場合、どうなるでしょうか。 私は、3回目の受験後、総合点で不合格であることを覚悟していました。そして、3回目としては、レベルが高くないことも自覚していました。当時大学卒業後2年目、若かったので、気持ちだけが空回りをしていたからだと思います。そこで、これが良くなかったのですが、平成4年の試験に受からなかったら受験をやめると周囲に宣言してしまいました。平成3年の試験後、工事現場の警備員を週6日やって3か月半で100万円作り、7か月間、平成4年の試験に向けて、勉強に専念しました。 確かに学力は飛躍的に上がりましたが、合格できなければ断念すると宣言したことで、結果的に自分を追い詰めてしまい、本試験ではプレッシャーに負けて力を発揮できずに際どいところで惜敗し、本当に断念してしまいました。断念後、司法書士試験の勉強はせず、全く違うことをしていて、1年数か月のブランクを経て受験を再開しましたが、これが受験を長引かせることになりました。正直、自己責任ではありますが、この断念とブランクで流れがおかしくなり、人生が滅茶苦茶になったと思っています。 また、一昨年引退したと思われる、某毒舌カリスマ講師は、3回で合格できなければ試験を断念するよう、リアルでも著書でも説いていました。実際、その講師の教え子で、非常に優秀な人が、3回目の受験でその言葉がプレッシャーになり、力を出し切れずに不合格となって断念、(プレッシャーに負けた当人に責任はあるものの)過度なプレッシャーをかけ続けた講師にも責めがあると問題になったという話を、その人の受験仲間から聞きました。 私は、「今年合格できなければ試験を止めるつもりだった」という話は、美談に過ぎないと思っています。もしその方々がギリギリのところで落ちたら、本当に断念するのでしょうか。多分、断念しないか、断念しても、すぐに再開するでしょう。実際、私はブランクを経た後、勉強を再開しましたし、上に書いた元毒舌カリスマ講師の教え子も、(後の合否は知りませんが)年月を経て、勉強を再開したと聞いています。 資格試験は、シンプルに、自分がその資格を必要としているか否かであり、必要と判断すれば、合格するまで、とことんやるしかありません。そこまで思えなくなれば、潔く撤退すべきかもしれませんが、その資格が必要であると腹を括ったら、あとは試験で合格最低点を取ることだけを考えれば良いのです。今年駄目だったらどうしようとか、余計なことは、一切考える必要はありませんし、本試験でプレッシャーとなるような、余計なことを背負い込む必要も、一切ありません。 そして、撤退するか否かは、本人が決めることです。同居している親族には色々と言われるかもしれませんし、迷惑をかけているのなら、きちんと気遣いすべきですが、同居の親族ですら、撤退するか否かをとやかくいう権利はありません。言えるとしたら、フルタイムで働いていない受験生に対し、今年合格できなければ、フルタイムで働きながら勉強するように、と言えるぐらいだと思います。まして、講師に、何回以内に合格できなければ断念するように、などと言う権利はありません。 どうか自分に不要なプレッシャーはかけず、伸び伸びと勉強してください。 |
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