2025/3/2
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合わない講座の受講は途中でやめても構わない |
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私の司法書士試験受験は超長期でしたので、多くの講座を受講しました。年々講座の受講は減り、受験晩年はごく僅かしか受講しませんでしたが、それでもトータルで、結構な金額を使ってしまったと思います。正直、半分以上はムダ金だったと思います。 講座、教材には、合う、合わないがあります。たとえ定評のある講師、講座、教材でも、万人に合うとは限りません。そこで、いざ、受講してみても、どうも自分にはこの講座は合わない、失敗だったかな、と思うことが、特に受験年数の長い方でしたら、経験したことがあるのではないでしょうか。私も、この講座は失敗だった、自己責任ではあるけれど、この講座を最後まで受講してしまったために、一年を棒に振ったということが、かつて二度あります。 もう四半世紀以上前ですが、今は閉校となった、司法書士試験専門予備校の答練を、年明けから半年受けていました。いつか詳細は書いてみたいと思いますが、賛否両論多い予備校で、細かい知識が多いというのは、ずっと言われていました。当時、本試験で過去問を逸脱した出題が多く、その予備校が脚光を浴びた時期がありました。私は当時、LECで教材製作スタッフをやっていましたが、OBを含め、8人もの(元)スタッフが、私と同じ年にその予備校の答練を受けていました。いざ受講してみると、良問は多いものの、細かすぎる知識も多く、私は振り回され続けました。どうも司法書士試験専門予備校ということで、細かい知識が出題されても当てておきたいらしく、「出題の可能性はあるけれど合否に差の付かない細かい知識」が、これでもか、とばかりに、てんこ盛りに盛り込まれていました。当時は個人情報保護法施行前で、成績優秀者の名前が載っていた頃で、その予備校は成績表に優秀者の名前を載せることを推奨する風潮があり、いつしか私もそれに巻き込まれました。 私は当時、細かい知識が出題されると気になって上手く見切れなかったので、春ごろには、強い違和感を覚えていました。しかし、10万円以上払っていたので、ズルズルと毎週、通い続けました。やっぱり失敗だったと悟ったのは、本試験まで1か月を切ってからでした。今は面接だけだそうですが、当時のLECの教材制作スタッフは厳しい選抜試験を受けており、優秀な人ばかりでした。そんな優秀な人が8人その答練を受けていても、合格者は1人しか出ませんでした(別に裏方の事務バイトも1人合格していました。)。合格した今だから言えることですが、強い違和感を覚えた春に見切ってオーソドックスな勉強に変えていれば、その年に合格できた可能性は十分あったと思います。実際、その2年前に、その予備校の答練を途中でやめて合格した人を知っています。 また、平成17年に不登法大改正、平成18年に会社法が施行されたため、某校の平成18年合格の中上級者向けの不登法、会社法・商登法の講座を受講しました。今よりも遥かに難易度の低い年に合格した講師が、自分で作っていない粗悪なレジュメを棒読みしているだけ、しかも、異常に無駄話が多く、会社法・商登法の途中で、他校に乗り換えようか、かなり迷いましたが、結構な金額を払ったこともあり、ズルズルと受講してしまいました。その講座は、とうとう一部の受講生の不満が爆発、講師が休憩で教室を出た後、激しいブーイングが出ました。私は仕事帰りで疲れていたので黙って聞いていましたが、ブーイングは妥当だと思いました。その講師を庇う声が全く聞こえなかったことからも、同意見の受講生が多かったのではと思います。正直、その講座を最後まで受講してしまったことが、平成18年試験の不合格の、大きな要因の一つだったと思います。 もし、現在受講している講座が合わない、若しくは違和感を覚えているのであれば、一度、立ち止まって見てください。開業を志向するかは別にして、難関資格受験は、一種の開業準備行為です。商売で、不採算部門があり、冷静に考えてこれから足を引っ張るのであれば、不採算部門から撤退し、より稼げる部門に注力するべきです。合わない講座に拘泥するのは、不採算部門に拘泥するのと同じです。結構なお金をかけたから、と合わない講座をズルズルと受講するのは、コンコルド効果です。 とりわけ、半年単位の答練は、上手く使いこなすのが難しいです。本試験では必ず未知の知識が出題されますから、未知の知識が出た時の対処を模試で訓練することは、悪いことではありせんし、1,2回は経験すべきです。しかし、約半年間、毎週、答練で未知の細かい知識を取得するか見切るか判断し続けるのは、真面目過ぎて割り切りがよくない人にとって、かなりの負担です。実際、上に挙げた人を含めて、半年単位の答練を途中でやめて合格した人を、二人知っています。 合わない講座を、折角高い金額を払ったのだから、と受講し続けるのは、一年を棒に振りかねません。たとえその合わない講座に10万円払おうと、20万円払おうと、合格が一年延びれば、それ以上の損失になり、より不経済です。 冷静に考えて合わないと思う講座には見切りをつけて、その年に賭けてください。 |
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