2025/2/21

私は合格した司法書士試験の4か月半前に簿記3級を受験しました

 今から丁度4年前、令和3年2月21日に、私は全経簿記3級を受験しました。その年の司法書士試験が7月4日でしたので、丁度4か月半前になります。本命の難関試験の4か月半前に他資格を受けることは、全くお勧めしません。しかし、私は、目的をもって受験して、いずれの試験にも合格しました。なお、なぜ日商ではなく全経にしたかといいますと、4級相当(初級簿記)が日商にはあると知らず、4級相当の全経基礎簿記を受験、合格したため、そのまま3級も全経にしたという経緯があります(日商と全経の違いは、別の機会に譲ります。)

 令和2年の司法書士試験はコロナ騒動で9月に行われました。年齢的な焦りから、少しでも結果を出そうと、令和2年11月に全経基礎簿記、ITパスポートに合格、ITパスポートを1000点満点中600点が合格ラインのところ、605点のギリギリで文系非IT職としては超短期で合格、やることを徹底的に絞り、基礎の基礎だけを正確に暗記し、ギリギリまで過去問に触れているという「ビリで受かる戦法」に開眼し、もう一度実験的に難易度の低い他資格を受けて試してみたいと思いました。実は私は日商簿記3級に落ちたという恥ずかしい過去があり、簿記にほんの少し、コンプレックスもありました。そこで、日商でも全経でもどちらでもよいので、簿記3級に再チャレンジしたいという気持ちもありました。

 仕事はしていましたが、司法書士試験の勉強は2週間ほど中断して、簿記3級の勉強をし、ITパスポートと同様、最低限のことしかやらないビリで受かる戦法で、無事合格しました(実際には、9割弱取れていました。)。これにより、自分はこのやり方でいいんだ、司法書士試験もこれでいくんだ、というしっかりとした方針ができました。簿記に関するコンプレックスも解消できました。そして、司法書士試験まで4か月半の勉強期間も、本試験当日も、気持ちも方針もブレることなく、自分のやり方を貫くことができました。

 いくら難易度が低くても、本命の難関資格の試験日4か月半前に他資格を受験することは、客観的に見ればクレイジーであり、お勧めしません。しかし、私にとって簿記3級の受験は、自分の勉強法を確立するために、必要なものでした。

 同様な例として挙げられるのは、千葉の特別研修で知り合った、若い一発合格者です。彼は仕事を辞めて1年の専業で受かった人でしたが、民事執行法、民事保全法は捨てて、民法に全振りしたと言っていました。ほかの人から、「それは無謀だったのではないか。」と言われると、「いや、自分はそれで行くと決めていたから。」と答えていました。令和3年の本試験の民法は、それほど難度が高くなかったため、それこそ、問題の相性という強運に恵まれた面はあったのかもしれません。しかし、彼は他人から見て無謀でも、自分のやり方を貫いたのです。おそらく、本試験の5時間を、ブレずに力を発揮できたことでしょう。これは、私と共通するところです。

 大切なのは、自分は今年の試験はこれでいくんだ、という方針を定めることです。それは、他人から見たらおかしなやり方でも、「他人からどう思われようが、自分はこれでいくんだ。」という、揺るぎない方針を定めることです。司法書士試験は、難関資格では珍しく、僅か1日、たったの5時間で勝負を決します。他資格のように、二日以上にわたる試験でしたら、初日がイマイチでも、一晩寝て気持ちを切り替える、ということができますが、僅か1日、5時間の勝負では、そのようなことができないのです。たった5時間、ピンチがつきものの本試験では、気持ちを瞬時に切り替える必要があります。その時、「自分は、今年はこうやって受かるんだ。」という方針がしっかりしていないと、瞬時に気持ちを切り替えて5時間を乗り切ることができないのです。たとえ学力的には合格レベルにあったとしても、心のどこかに、ああすれば良かった、こうすれば良かった、という気持ちが、ほんの僅かでもあると、簡単に気持ちがブレて、力を発揮できなくなるのです。そうやって、受かってもおかしくない学力のある受験生が、毎年大量に落ちることになります。かつての私もそうでした。

 本試験4か月半前に他資格を受けることも、民事執行法や民事保全法を捨てることも、全くお勧めしません。でも、他人から見て無謀でおかしなやり方でも構わないので、「他人からどう思われようが、自分はこれでいくんだ。」というしっかりとした方針を定めてください。本試験で頼りになるのは、自分だけです。自分を信じる根拠は、勉強量や勉強時間、まして模試の成績などという本試験では全く頼りにならないものではなく、「他人からどう思われようが、自分はこれでいくんだ。」とい確固たる方針です。そして、それに基づき勉強し、それを本試験で貫けるかが重要なのです。是非、確固たる自分の方針を定めて、それに基づいて勉強し、本試験で貫いていただきたいと思います。