2025/2/20
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相続土地国庫帰属制度の課題 |
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標題ほど大げさな話ではありませんが、FPジャーナル本年2月号において、気になる記事がありました。「どうなる?『超高齢化社会の相続』」という記事で、相続土地国庫帰属制度は、家屋の取り壊しの必要性、審査手数料、承認後の管理費用等が負担となり、相談は寄せられているものも、申請件数が少ない、という旨の記載です。 相談があっても、申請件数が少ないという部分について、やはりそこか、という感想です。私は、相続土地国庫帰属制度に関する研修や勉強会は、なるべく参加するようにしています。はっきりした記憶でないので恐縮ですが、法務局への事前の相談は、事実上義務に近いので、そこで要件に該当しないものは申請前に絞られる、という旨を聞いた記憶があります。この法務局への相談が義務なのか、法務局のサイトでも、義務とまではされていません。ただし、事前予約が必要で、令和6年10月から、ウェブ相談も開始しており、法務局も力を入れていることがわかります。事前相談を「必須」としていた弁護士事務所のサイトもありましたが、要件が厳しい制度ですので、本気で利用したいと考えていらっしゃるのでしたら、法務局の事前相談はすべきであり、私もお客様へは、そう勧めています。おそらく、士業の方の大半は、同じでしょう。その意味で、相続土地国庫帰属制度において法務局の事前相談は、事実上の義務に近いといって差し支えないかもしれません。 費用の負担が過大という点については、審査手数料は、土地1筆14,000円であり、それほど負担が過大ということもないかと思います。ただし、建物が存在しないことが要件ですので、建物が存在する場合、解体費用の負担を考えると、躊躇するのはよくわかります。 また、管理のための負担金も過大で、宅地、田畑が最低20万円、区域等によって、更に負担が増えます。森林は面積に応じた額ですが、21万円を下回ることはありません。それ以外の雑種地、原野等が20万円となります。つまり、当該制度を利用したければ、管理のための負担金を、最低20万円払うことになります。要件は満たしても、固定資産税額が微々たる額であれば、何も20万円払ってまで利用しなくても…と思う方がいらっしゃっても、無理はありません。 いずれにせよ、事前相談で当該制度の利用を諦めている方が多いのだな、ということがよくわかりました。まだまだ課題の多い制度であり、動向を見守りたいと思います。 |
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