2025/2/16

司法書士試験の発表待ちの間に他資格受験は必要か

 司法書士試験の発表待ちの期間は約3か月あり、他資格の受験が問題となります。その筆頭が、現在では行政書士、次点で宅建でしょうか。本年度の司法書士試験まで5か月弱、漠然と、今年の本試験後に行政書士か宅建を受けようかな、と考えている受験生は多いかと思います。私は超長期受験生だったので、発表待ちの間に、宅建、行政書士はもとより、FP2級、簿記3級、ITパスポート、パソコン検定、ワープロ検定と、資格を取りまくりました。司法書士試験の発表待ちの間の他資格受験は、メリット、デメリットの両方がありますので、私見を述べてみたいと思います。

 まず、他資格受験のメリットですが、司法書士試験が不合格だった場合、発表待ちの間に履歴書に書けるような資格に合格していると、ダメージが軽減されることです。自分自身も自信が持てますし、周囲(特に同居している家族)が、「こいつはやればできる人間だから、もう少し応援してやろう。」という気にもなるものです。この辺は価値観の問題なので、あくまでも私見ですが、フリーター状態の司法書士試験や予備試験受験のベテラン受験生で、行政書士はおろか宅建すら持っていない者については、せめて宅建ぐらいは取得して、同居している家族に誠意を見せるべきでは、と思うこともあります。

 私は大学在学中に宅建を取得しましたが、それにより、随分と救われました。別に不動産業に就いたわけではありませんが、宅建は「入門資格ではあるが、それなりの勉強をしていないと取得できない資格」ということは広く世間に知れ渡っており、特にフルタイムの仕事を辞めてフリーター状態のときに、宅建を持っているぐらいだから、おかしな人ではない、という扱いを受けました。その意味では、行政書士に合格して、更に信用が増しました。宅建、行政書士クラスでも、それなりに信用になります。その意味では、特に登録して生かさなくても、十分メリットはあります。

 また、他資格の受験は、勉強癖が付くという意味でも、発表待ちの間にボーっと過ごしてしまうより、よほど有意義です。

 デメリットは、宅建や行政書士の勉強中は、司法書士の勉強はできないのですから、当然、司法書士試験については後れを取ります。個人的には、その年の司法書士試験の出来が予想以上に悪かった場合、他資格の勉強をするよりは、素直に司法書士試験の勉強をした方が良いように思います。本命の試験が何なのか、勘違いしてはいけません。

 また、私自身がそうでしたが、司法書士受験生が行政書士試験に合格した場合、自分は同じ司法書士受験生よりも少し別格だと勘違いしてしまう場合もあると思います。資格の世界はその試験に合格しているかどうかという、結果が全てです。その意味では、司法書士試験において同等の学力で、同じ不合格の受験生同士の場合、それが行政書士の有資格者か否かを比較すれば、世間は行政書士の有資格者を評価するでしょう。しかし、あくまでも司法書士が本命であれば、司法書士試験に合格しなければ意味はありません。行政書士試験に合格していようがいまいが、司法書士試験に合格していなければ、司法書士受験生としては、平等です。むしろ、その年の試験までは同等の学力でも、発表待ちの間に一方は司法書士試験の弱点対策をし、一方は行政書士試験の勉強をしていれば、次年度の司法書士試験については、後者は前者よりも後れを取ることになります。後者がいくら行政書士試験に合格しようが、そうなります。だからといって司法書士試験の発表待ちの間に行政書士の受験はお勧めしないというわけではありませんが、その点は、心に留め置くべきかと思います。

 最後に、司法書士試験の発表待ちの期間を利用して他資格を受験するのであれば、私は、行政書士よりも、宅建を強くお勧めします。いくら近年の行政書士試験の易化が著しいといっても、やはり、行政書士は宅建よりはワンランク上です。繰り返しますが、資格の世界は結果がすべてです。司法書士受験生にとって、行政書士試験は、行政法の勉強が厄介です。やるなら、確実に合格する資格を受験するべきです。宅建は合格すると、合格証書と共に、登録に必要な資料も送られてきます。私が合格した時は、実務講習の資料の入った、分厚い封筒が送られてきて、とても嬉しかった記憶があります。くどいようですが、資格は受かってナンボです。司法書士受験生が行政書士試験を受験するのは、宅建に合格した後の方がいい、と私は思います。