2024/12/14

権利証に公図や地積測量図が閉じられていなくても問題ない

 不動産の権利証は、通常は、司法書士が表紙を付けて閉じられています。その末尾に、公図や地積測量図が入っているものを見かけることがあります。近年の登記識別情報に表紙を付けているものには、見かけることは殆どなくなりましたが、改正前の登記済証の時代には、時々見かけました。

 大昔に補助者をやっていた時に、匿名の電話で、(仕事を依頼するのではなく)自分の持っている不動産の権利証には、公図がないが、権利証としては有効なのかと、問い合わせがあったことがあります。

 公図は、売買の場合は、不動産屋から預かる場合もあるかと思いますが、通常の相続登記には、必要ありません。隠れた私道があるか不安な場合は、取ることがあります。隠れた私道が珍しくない地域で開業している先生の中には、原則として公図を取る方もいます。その公図を、権利証の最後に入れて、表紙で閉じているのだと思います。ですから、公図は、権利証の一内容ではありませんので、権利証の表紙の中に閉じられていなくても、何の問題もありません。

 問題は、地積測量図です。これも、売買の場合は、不動産屋から預かる場合もあるかと思いますが、通常の相続登記には不要ですし、司法書士が確認することもありません。ところが、お客様が別の司法書士に依頼して完了した相続登記による登記識別情報(権利証)を拝見した時に、公図と地積測量図も権利証の表紙の中に閉じられていました。その先生は、超高齢の方で、登録もバブル期という大昔の方なのですが、正直、合理性のない慣習を引きずっているのだな、と思います。

 その登記識別情報(権利証)と一緒に、相続登記の領収書が出てきたのですが、公図と地積測量図の法務局への手数料と、自身の手数料が計上されていることが、強く推認されました。

 公図は隠れた私道を探すため、という可能性もありますが、相続登記に地積測量図は不要だと思います。無償ならただの過剰サービスですが、1000円前後の話でも、有償でやらなくても良いことを勝手に追加したのなら、問題だと思います。

 まあ、バブル期に開業された方なので、慣習的にやってきたことを、延々と今でもやっているのでしょう。しかし、現実問題と言わせていただければ、不要なサービスでお金を取ったのでしたら、押し売りといっても差し支えないかと思います。

 不動産の記識別情報(権利証)の中に公図や地積測量図が閉じられていなくても問題はありませんので、その点は知っておいた方がよろしいかと思います。