2024/12/6

不動産の「権利証」の様々な呼び方について

 一般に、不動産の権利を証するものを、「権利証」または「権利書」と呼びます。しかし、これらは、不動産登記法上の正式な名称ではありません。不動産登記法上は、従前は「登記済証」でしたが、平成17年施行の改正不動産登記法から、「登記識別情報」となりました。登記識別情報とは、12桁の英数字の羅列で、オンライン申請のため、改正されました。平成17年施行の改正でしたが、全国津々浦々の法務局がオンラインとなったのは、その数年後で、現在新たに発行されているのは、登記識別情報です。

 「権利証」または「権利書」という言葉は、法文上の用語ではないので、いわば俗称ですが、権利を証するという意味では、むしろ、こちらの方がイメージしやすく、私も、一般の方に説明する際は、「権利証」または「権利書」という呼び方をすることがあります。

 オンライン申請が普及するまでは、登記済証が発行されていたので、それまで発行されていた登記済証は、今でも有効です。登記済証時代に権利証や権利書の呼び方が定着していたことから考えても、今でも登記識別情報も含めて総称して、「権利証」または「権利書」という呼び方をすることは、合理性があるともいえます。

 このように、登記済証も登記識別情報も有効であること、権利証または権利書という俗称が定着していることから、司法書士が付けるそれらの表紙や、封入する封筒に、様々な名称が使われていることが、少々厄介です。現に、私が使用している表紙も、「不動産登記権利情報」という、折衷的とも中途半端ともいえる名称が書かれています。

 お客様に、様々な名称が書かれた表紙や封筒を複数見せられて、「一体どれが正しいものなのか。」との質問を受けたことがあります。

 中には、既に権利が移転していて価値のなくなっている「空権利証」もあり、今現在効力のあるものはどれか、司法書士が判断するしかありませんが、それらしい呼び方が書かれている表紙、封筒に入っているものは、少なくとも発行当時は、権利があったものと捉えて差し支えないかと思います。

 大雑把な解説で恐縮ですが、不動産の権利を証するものは、様々な名称があることは、ご理解頂けたらと思います。