2024/11/21
|
|
手に職がある者は強い |
|
10年ほど前、TVの氷河期世代の特集で、当時40歳の女性が、顔をぼかして、インタビューに答えていました。年齢からすると、おそらく平成6年に専門学校を卒業したことになりますが、新卒で就職した会社を2年で退職(リストラだったかは不明)、その後はずっと非正規雇用で独身とのこと、もし自分が男性だったら、妻子を養わなければならないからと、正規で雇ってもらえたのではないか、女性だからずっと非正規のままだと語っていました。 思わず、「えっ?どゆコト?」と聞きたくなるような謎理論でしたが、私がこの女性だったら、20代の時にどうしたでしょうか。まず、ずっと長らく非正規ということは、卒業した専門学校が、有用な資格を取れる学校ではなかったのだと思います。そこを悔いても仕方ないので、新卒の仕事を2年で辞める時点でどうしたかを考えてみます。私でしたら、看護師は手に職という意味では最強だと思っているので、まず、そこを検討します。ただし、看護師は重労働ですし、向き不向きもあります。看護師が手に職という意味で強いのはわかるけど、自分には向いていない、というのであれば、私でしたら、臨床工学技士、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士、歯科衛生士などの、医療系国家資格を目指します。これらの資格は合格率が高く、真面目に学校に通って勉強すれば、ほぼ確実に資格を取得できるのが特徴です。このうち、臨床検査技師、診療放射線技師は、現在では飽和状態と言われていますが、この女性の世代でしたら、新たに専門学校を出て資格を取得し、20代の内から経験を積めば、少なくとも年金を受給する年齢までは、何とかなったかと思います。 現在はこれらの資格を取るのに、4年制大学もありますが、当時は、専門学校だったと思います。私がこの女性なら、新卒の仕事を辞めたのが22歳ですから、その時点で貯金が心許なければ、上記資格を取れる専門学校へ通うため、2年間、アルバイト掛け持ちで学費を貯めます。それでも足りなければ、親兄弟、親戚中を回って不足分を借りるか、奨学金を借ります。当時でしたら、歯科衛生士が2年、それ以外は3年では、と思いますが、24歳から専門学校へ通って資格を取得し、歯科衛生士なら26歳、それ以外の資格なら27歳で、新たな専門学校の新卒で就職できたはずです。そこからキャリアを積めば、贅沢はできなくても、正規雇用で、普通に生活できる程度の収入は得られていたはずです。 仮に医療系の資格に興味がなくても、20代前半で宅建を取れば、正社員で不動産業に勤務することも可能でしたし、公務員試験を受ける道もありました。氷河期の公務員試験は大変でしたが、複数受験できるのが、公務員試験の最大のメリットです。つまり、この方が20代のうちに手を打てば、いくらでも這い上がるチャンスはあったのです。 ちなみに、上記医療系資格の中では、歯科衛生士が、最も人手不足のようです。子育て中の歯科衛生士の場合、時間や日数の融通がかなり利くようですし、私の近所の歯科医院も、地元の主婦パートの賃金相場を遥かに上回る時給で歯科衛生士を募集しても、なかなか人が集まりませんでした。女性が4年制大学を出て子育てで正社員を辞めてパート勤務になっても、歯科衛生士よりもずっと低い時給になるのですから、子育て期間中はパート勤務という場合の生涯年収でいうと、4年制大学卒よりも、歯科衛生士が上回る可能性があります。 やっぱり、手に職があるというのは、強いのです。 |
|