2024/11/17

自治体による士業の無料相談の勧め

 実務で依頼者様の相談を受けて思うのが、抜き差しならない事態になる前に、専門家に相談いただきたかった、あるいは、長期間不安を抱えている状態であれば、早期に専門家に相談にしていただきたかった、ということです。

 法的紛争、税務、相続に関する不安は、それぞれ、弁護士、税理士、司法書士に相談すれば、少なくともおよその指針は定まり、抜き差しならない事態に至る前に解決する、あるいは、大きな不安からは解消されるものです。稀に土地の境界に関する問題など、土地家屋調査士の分野の相談もありますが、その場合は、司法書士が土地家屋調査士を紹介してくれます。

 私は千葉司法書士会による司法書士会館での無料相談や、柏市の司法書士による無料相談会で、相談員を務めることがあります。不安から解消されたと安堵されることも多く、また、もう少し早く相談に来ていただければ、今ほど深刻な事態にはならなかったのに、と思うこともあります。後者で多いのが、遺言を作成する意思があったのに、作成前に病状が悪化して亡くなり、遺産分割協議が面倒になったようなケースです。このような場合こそ、早期に専門家に相談し、早く遺言を作成するべきだったと思います。

 士業でも、初回無料相談をうたう事務所は多く、敷居は下がってきているとは思いますが、個人的には、自治体に士業を派遣する無料相談が、最も敷居が低いかと思います。

 無料相談の場合、敷居が低いからか、無断キャンセルをされる方がいらっしゃいます。私は、今年だけで2件、経験しました。1件は司法書士会館での相談で、遅刻するという電話はあったものの、結局来訪せず、連絡もありませんでした。もう一件は、市役所の無料相談で、連絡なしの全くのドタキャンでした。市役所の場合、相談内容の概要が事前にわかるため、回答を事前に用意をしていたので、肩透かしをくらいました。

 無料ということで、敷居が低すぎる弊害かもしれませんが、最低限のマナーは守っていただきたいところです。

 また、相続に関する相談は、少なくとも複雑な事案は、手書きで構わないので、家系図を書いてきていただきたいところです。限られた相談時間ですから、複雑な相続関係を口頭で説明されるよりは、家系図で説明された方がスムーズです。今まで相談者自身が事前に作成した家系図で説明していただいたのは、2件だけです。

 色々と書きましたが、私は、困りごとがありましたら、早めに自治体の無料相談を利用することを、強くお勧めします。