2024/11/12
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令和6年度行政書士試験解答速報作業に参加して |
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令和6年度行政書士試験が、10日に行われました。私は予備校の解答速報の仕事をしていました。担当したのは択一式民法の物権、担保物権、相続の3問で、当夜に解説も書きました。あくまでもその3問の印象ですが、正解肢に辿り着くのは、難しくなかったかと思います。物権は、昭和の頃の司法書士試験の問題を、更に単純化したような問題でした。3問とも、択一式で基準点を超える実力のある司法書士試験受験生であれば、ほぼ即答できたかとと思います。また、改正法に保守的な行政書士試験には珍しく、改正法の出題が多かった印象です。 記述式民法は、まだ試験問題が公表されておらず、当日問題を少し見ただけなので、何とも言えませんが、解答例を見る限り、予備校の予測が困難な問題でした。問題45は、過去に担保物件が2年続けて出題されたことはなく、しかも先取特権というマイナー分野だったこと、問題46の債権者代位権も、令和4年に出題されたばかりなので、いずれもこれを模試に出題した予備校はないのでは、と思います。 問題45につき、先取特権は、確かに意表をついていますが、先取特権そのものは、択一式平成28年、19年で出題されています。動産売買先取特権は、ズバリではないですが、平成28年、19年のいずれにおいても出題されており、特に平成19年の問題をきちんと解いていれば、何とか及第点は取れるのでは、と思います。 問題46につき、確かに民法423条の7は改正法ですが、登記請求権が債権者代位権の目的になることは、従来から判例で認められており、判例を明文化しただけです。行政書士試験においても、登記請求権が債権者代位権の目的になることは、択一式の平成17年に既出であり、過去問をやりこんでいた受験生は、これも及第点は取れたかと思います。 行政書士試験の受験生は、他試験に比べて過去問を軽視する者が多いと言われていますが、今年の記述式民法も、択一式の過去問をやりこんでいた受験生に有利だったと思われます。 なお、問題45も、46も、択一式で基準点を超える実力のある司法書士試験受験生であれば、それほど時間を要せずに、及第点の答案を書けたかと思います。 試験はもう終わりました。自己採点で余裕のある受験生以外は、ああすれば良かった、こうすれば良かったという後悔があるかと思います。しかし、時間は巻き戻せません。今、自己採点で余裕のない受験生がすべきことは、そのああすれば良かった、こうすれば良かったということをレポートにまとめ、次に生かすことです。そのああすれば良かった、こうすれば良かったは、発表までには半分以上、記憶から消えます。今やるべきことは、それを記録に残すことです。そして、記録に残したら、それ以上、悩まないことです。死んだ子の年は数えないことです。 また、司法書士受験生の保険・腕試し組は、たとえ行政書士試験に不合格でも、気にしないことです。本命の試験は何か、見誤らないでください。 |
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