2024/10/19

ネグレクトがあった場合の養子縁組の離縁の勧め

 守秘義務があるので詳細は書けませんが、同居している実子の配偶者と養親組後、実子が死亡し、それから養子との関係が悪化したという、生存している別の実子(養子の義兄弟)からの相談がありました。同居している養子による老いた養親に対する暴言やネグレクトがあり、離縁を希望した養親と当該相談者が市役所(何処の市役所かは伏せます。)の戸籍を扱う課に相談したところ、最初に縁組を持ちかけたのが養親だから、持ちかけた側からは離縁を請求できないという、意味不明の謎回答があったそうです。相談者は、役所の言うことだから、と信じで泣き寝入りをしてしまったところ、養親は意思表示ができないぐらい身体が衰弱し、余命いくばくもない状態となってしまいました。相談者が、親に暴言を吐いたり、ネグレクトをしたりした養子が相続人になるのは納得できないとこぼしていました。

 私は、縁組を持ちかけた側からは離縁を請求できないという決まりはないことと、調停や裁判で離縁できる可能性は十分あった旨を話しました。しかし、養親が意思表示をできない状態であれば、今から調停や裁判は難しい旨を話すと、愕然とされていました。

 この市役所の担当者は、本当に罪なことをしたと思います。あまりにも役所の担当者としては無知極まりないですし、自信がなければ、市が行う弁護士や司法書士の無料法律相談を勧めれば良かったのです。聞けば、この担当者は態度もかなり悪かったそうです。この無知無責任な役人のせいで、本来なら離縁できる可能性が十分あったのに、離縁の機会を逃し、老いた養親に対して暴言吐き、ネグレクトをする養子に相続権が残ってしまいました。

 相談者と、(元気なうちにですが)養親の方には、市が行う弁護士や司法書士の無料法律相談を利用していただきたかったと思います。そうすれば、離縁できた可能性が高かったでしょう。その旨も話したのですが、すべてが遅すぎました。

 離縁の申し立て書類の作成は、司法書士も行えます。弁護士を雇うのが費用的に厳しければ、最初は司法書士に書類を作成してもらい、本人の申し立てでも良いと思います。行き詰ったら弁護士を頼っても良いでしょう。養子縁組の離縁を検討されている方は、最初は自治体の行う弁護士や司法書士の無料法律相談でも構わないので、是非、相談してください。そして、弁護士や司法書士を頼ってください。私も、力になりたいと思っています。