2024/10/12

模試の成績は関係ないと模試を15年作ってきた私が言ってみる

  「模試の成績は関係ない」

  使い古された言葉ですが、模試を15年作ってきた私もそう実感しています。資格受験生の皆さんも、頭ではわかっていますが、なかなか体で理解できない言葉でもあると思います。現状、資格受験生の多くが、わかってはいても、模試の成績に一喜一憂し、模試の成績が振るわないと、そのまま気分が暗くなったり、あるいは気力が落ちたりした状態で試験に臨み、不合格になる、というパターンも多いと思います。かつての私もそうでした。

 行政書士試験まであとわずか、模試の成績に一喜一憂している受験生も多いかと思います。また、司法書士試験の発表もあり、模試が好成績だったのに不合格となり、途方に暮れている方も多いかと思います。そこで、模試の結果と本試験の合否について、私見を述べてみます。

 まず、模試と本試験は、制作者が違います。模試はあくまでも商売であり、年中試験問題を制作しているプロの制作です。競争相手の他校も存在し、下手な問題は作れません。まあ、模試でも「えっこれ出すの?」と言いたくなる問題もありますが、ライバル校との競争ですから、拙いなりに努力して、それなりのレベルの問題を作っています。対して本試験は、年に一度しか作問しない人たちの制作です。しかも、通常は、数年で試験委員の任期が終わります。そして、ライバル校もなく、どんな問題を作ろうが、必ず受験生は受けてくれます。そうすると、必然的に、予備校の模試と本試験には、質に差が生じます。「えっこれ出すの?」という問題が予備校以上に本試験に多いのは、そのためです。また、私も作問を15年やってきたので感覚的にわかりますが、本試験に制作者の気合が入った問題は、それほど多くありません。ルーチンワーク的に、「お仕事」として作られた問題が大半です。

 模試と本試験には質的に大きな差がある以上、模試の成績は、本試験の合格には、直結しません。せいぜい、模試が好成績の場合、「まあ、悪い位置にはいないよね。」といったぐらいのものです。

 だからといって、模試を受けなくても良いとは思いません。私は、FP2級、簿記2級、宅建以上の試験を受ける場合、事前に模試は受けた方が良いと思います。初めて受ける試験は、一度は時間配分を経験した方が良いからです。あとは、法律系ですと、改正法のヤマ、最新の判例、通達の知識を得るのに有効です。しかし、模試には、その程度の意味しかありません。厳密にいうと、本試験の難度が極端に高い年は、時間配分の意味も薄れるからです。ですので、回数を多く受ける必要はありません。私が司法書士試験に合格した年は、模試は2回しか受けませんでした。答練も、長い間受けていませんでした。

 私は、行政書士試験は司法書士試験の発表待ちの短期間の受験だったので、模試も成績が悪く、C判定だったと思います。司法書士試験も、合格した年は、A判定は取れなかったと思います。しかし、全く気にすることはなく、特に司法書士試験は、自信満々で試験に臨み、まずまずの成績で合格しました。模試の成績が良かったのに不合格でやりきれない思いをされている方は、酷な言い方をすれば、何かをはき違えていると思います。

 模試の成績を一喜一憂しない気持ちの切り替えの早さが、難関資格の受験には必要です。試験前も、発表で不合格が判明し、模試の結果に振り回されている人も、是非、気持ちの切り替えの速度を上げてください。それができずに模試の結果に振り回され続けていると、試験に落とされても文句は言えないと思います。