2024/10/5

教材制作のプロによる行政書士試験の直前1か月の勉強法

 本年度の行政書士試験まで、残り5週間となりました。私は行政書士試験に関しては、記述式民法の制作しか携わっていないので、択一式の具体的な勉強法までは伝授できませんが、令和3年の司法書士試験合格者でもあるので、一般論としての資格試験1か月前の勉強法に言及したいと思います。

 本年度向け行政書士試験の公開模試も始まり、色々と思うところもあるかと思います。まず、心構えとして大切なのは、「今年に賭ける」ことです。たとえ1%でも合格の可能性があれば、それに賭けるのです。客観的に見てみっともないぐらい、合格に執着するのです。資格試験受験生によくいる「今年は予行練習で、来年が本番」という発言をする人は、永久に合格できませんし、大抵は、翌年には資格の世界を去ります。

 試験1か月前ともなれば、不満足な現状を嘆き、「あの時、ああすればよかった、こうすればよかった。」等、後悔もしきりだと思います。それは、試験終了直後に、レポートにまとめてください。万が一不合格になった場合、来年の試験には役立ちますが、今年の試験には全く不要な話なので、今から本試験までは、1秒たりとも、後悔することに時間を費やしてはいけません。

 行政書士試験と司法書士試験とでは、知識量に雲泥の差があります。私は、行政書士試験の直前1か月前は、司法書士試験の直前3か月前に匹敵すると思っています。あと5週間、どんなに模試の成績が惨憺たるものでも、十分逆転のチャンスがあります。

 やるべきことを、徹底的に絞ってください。行政書士試験は、6割取れれば合格できる、絶対評価の試験です。4割誤っても合格できるというのは、結構低いハードルです。ここで大切なのは、何が何でも今年合格したいから、8割取ろう、と思わないことです。まず、全科目満遍なく勉強して、6割取れる知識を身に付けます。その上で、少し上乗せして、6割5分取れる知識が身に着けば、もうそれで十分です。

 「本試験はおかしな問題も少なからず出る。それを考慮すれば、8割を目指した方が安全では?」と思われるかもしれません。しかし、高得点を目指す勉強をすると、どこかでバランスを崩す可能性が高いのです。ある科目は高得点が取れる実力が付いたが、反面、基礎もあやふやな科目もできてしまった、というのは、よくありがちで、私の司法書士試験受験が長期化した理由の一つでもあります。これから先は、いかに理想と現実の乖離を修正するかが勝負どころです。今、冷徹に現実主義に徹して、残り時間で6割取れるのがギリギリだとすれば、大胆にやることを絞り、6割取る勉強に徹するのが鉄則です。それを、「根性でなんとかする。」と、物理的にできもしない8割や7割5分得点する勉強を目指すと、ほぼ間違いなく不合格になります。残り1か月前に、残り時間でこなせる量に徹底的に絞ればギリギリ合格できたのに、欲をかいて物理的にこなせない量をこなそうとして不合格になる、実は資格試験の大半の受験生が、その罠に落ちます。残り1か月、冷静に残りの勉強時間でやれることに徹していただきたいと思います。