2024/9/23

住宅ローンは婚姻費用から控除可能か

 夫婦が別居し、夫名義の建物の住宅ローンの支払いがある場合の、婚姻費用が問題となります。文献によっては、少々わかりづらい記述のものもありますので、ここではざっくりと、わかりやすく説明します。

 まず、妻が当該不動産から出て行った場合、婚姻費用から、住宅ローンは控除されません。妻は当該不動産に居住していないのですから、夫の住宅ローンの負担により、妻が住居費用の支払いを逃れていることにはならないですし、夫は住宅ローンの返済により、当該住宅の価値を上げ、自らの資産形成のために支払っているに過ぎないからです。この事案はわかりやすいかと思います。

 問題は、夫が出て行き、当該住宅ローンの支払いのある夫名義の不動産に、妻が居住する場合です。この場合、妻は住居費用の支払いを逃れていることになるわけですから、婚姻費用から控除されます。ところが、夫の側面から見れば、自らの資産形成のために支払っている部分もある訳ですから、毎月支払っている住宅ローンの全額が、婚姻費用から控除されるわけではありません。夫婦各々の収入、ローンの支払額、夫の住居費等を考慮し、裁判所の裁量で決めます。決して住宅ローンの全額が控除されるわけではないので、その点は、要注意です。