2024/9/18

合格率約40%の法科大学院経由の司法試験は低リスクか

 私は、受けたこともない試験をとやかくいうのは避けるべきという考えですが、辰巳の仕事をしている関係上で、司法試験のこともそれなりに知っています。そこで、外野的に、法科大学院経由の司法試験受験について書いてみたいと思います。あくまでも外野的意見ということで、ご承知おきください。

 ご存じのとおり、現行の司法試験は、合格率が約40%という、旧司法試験や司法試験予備試験の10倍もの合格率です。資格試験に興味の薄い人は、現行司法試験を旧司法試験と同様に考えていらっしゃる場合も多いのですが、現在において、旧司法試験に匹敵するのが司法試験予備試験で、現行司法試験は、旧司法試験や司法試験予備試験とは全くの別物です。

 では、現行司法試験は、旧司法試験や司法試験予備試験の10倍、司法書士試験の8倍もの合格率ですから、一見、法律系資格試験としては低リスクのようにも見えますが、果たしてそう言い切って良いのでしょうか。

 私は、特に法科大学院導入初期に、「本来、難関資格に手を出してはいけない人たちまで手を出してしまっている」という印象を受けました。以前にも書きましたが、たとえば、司法書士の初学者向けの生クラス本科講座も、講座終了日に出席する受講生は、開校日の半分ほどに減ります。つまり、半数ほどは、向いていなくて早期に脱落するのです。勿論、能力的な問題もありますが、多くの場合、当初の予想よりも難度が高かったこと、また、性格的に難関資格の受験には向いていない場合もあります。つまり、早期に脱落するということは、本来は手を出さない方が良い人たちだったのです。

 初期の法科大学院経由の司法試験は、3回不合格で終わりの三振制度でしたが、三振してしまった受験生の恨み節が、SNSでも見られます。でも、私は、本来、司法試験には手を出してはいけない人たちが手を出してしまった場合が多いと思っています。

 法科大学院は、法律既修者で2年、未修者で3年ですが、私は、本来なら1、2年で撤退するところ、法科大学院へ行ったために、5、6年粘らざるを得なくなってしまったのではないか、と思います。近年では、向いていないと悟って2回程の不合格で撤退する人もいますが、それでも、旧司法試験であれば2年以内で撤退するところ、損切りするまで4、5年かけてしまうことになります。その意味で、法科大学院へ経由で司法試験を受験するのは、決して低リスクとは言えません。

 そこで、法科大学院を真剣に考えている方は、向き・不向きを判断するために、半年~1年じっくり時間を取って、行政書士試験を受験することをお勧めします。時間を取って勉強して行政書士試験に一発合格できなければ、潔く法科大学院へは入学しない方が無難である、と私は思います。特に、社会人が法科大学院へ入学すると、仕事を辞めることが前提になりますから、事前に行政書士試験で腕試しをしておくことを、強くお勧めします