2024/9/8

退職金は定年退職時の満額が財産分与の対象となるか

 離婚の財産分与において、退職金は、定年退職時の満額が対象となると思っていらっしゃる方がいるようです。しかし、財産分与は、同居期間中に築いた財産を按分する制度です。

 たとえば、22歳で就職し、60歳で定年を迎える、勤続38年、退職金2200万円を想定してみます。わかりやすく、月と日は考慮せず、年数だけで考えてみます(1000円未満は期切捨てます。)。この場合で、30歳で結婚して、60歳の定年を機に離婚する場合、同居期間は30年ですから、約17368000円(22000万円÷38年×30年)を、原則課税後の手取り額で按分します。

 また、この事案で、34歳で結婚し、56歳で離婚する場合、同居期間は22年ですから、約12736000円(22000万円÷38年×22年)を、原則課税後の手取り額で按分します。

 退職金は、決して、定年退職時の満額が対象となるわけではないので、要注意です。