2024/8/4
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添削者視点からの行政書士記述式民法対策法 |
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私は、平成30年試験向け講座から、予備校の行政書士記述式民法の作問をやっています。平成30年は記述式行政法の作問もやっていました。添削もやっていましたが、司法書士登録をしたのを機に、添削と講評作成の方法についてマニュアルを作って次の世代に託し、令和5年向け講座からは、作問のみをやっています。本年度向けの作問が終わったので、添削者視点からの行政書士記述式民法対策法を書いてみたいと思います。なお、予備校を代表する意見ではなく、あくまでも私見です。 添削を何千通もやって思うのは、公開模試で民法の記述式2問を揃って合格点(6割)を超える者はこくわずか、ということです。1問を8割以上取れる人でも、もう1問は6割未満の人の方が多いです。また、理由付けはほぼ合っていても、肝心の結論が誤っている人は、結構います。これらのことが、何を意味するのか、それは、基礎がしっかり身についていない、実力が中途半端な受験生が多い、ということです。 ではどう対策するのか、基礎的なことを、しっかり身に付けることです。平成18年以降の17年分の本試験で、これは行政書士受験生が対応するのは酷だろう、という問題は、①令和2年の背信的悪意者の判例の理由、②令和元年の第三者のためにする契約、③平成28年の財産分与の性質、④平成19年の民法の緊急避難の4問ぐらいです。①③は判例百選を精読していないと模範解答のようなものは書けない、行政書士試験の受験生には厳しい問題、②④は条文どおりですが、マイナー過ぎて一般の受験生はフォローしていない、酷な問題です。この4問は、かなり甘い採点がされていることが予想され、気にする必要はないと思いますが、この4問以外は、択一式過去問や、行政書士試験の受験テキストには載っている論点ばかりです。つまり、予備校の教材を使って、択一式の勉強についてやることをやっていれば、記述式も6割を取れる知識は身に付いているはずです。働いていてテキストをすべてこなす自信はないというのであれば、少なくとも択一式の過去問はきちんと潰して、テキストはAランク、Bランクに絞って精読し、キーワードを少しでも書けるようにするなど、時間がないなりにやり方はあると思います。昨年の物上代位は平成18年とほぼ同内容でしたから、今後は記述式の過去問もやっておくべきでしょう。あとはアウトプットの訓練として公開模試を受け、不安でしたら、高額ではない記述式対策の講座もありますから、講座を受講するのも有効でしょう。 また、白紙や、ほぼ白紙に使い答案も、それなりにあります。肝心なのは、読める程度の汚い字でも構わないので、答案はすべて埋めることです。すべて埋めていても、0点の答案もありますが、答案をすべて埋めてあれば、少なくともキーワード一つ分の点数が付くことが大半です。そのキーワード一つ分の点数で合否が決することもあるのですから、答案は無理をしてでも、埋めましょう。 以上、択一式レベルの基礎知識をしっかり身に付ける、答案をすべて埋める、というのは、当たり前ではありますが、記述式民法の一番の対策法だと思います。 |
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