2024/7/29

簿記、宅建、行政書士を馬鹿にするなら取得してからにすべき

 有名私大を中退後、大手企業の営業でトップクラスになったり、スタートアップ企業を成功させたりと、華々しい経歴(?)を持つ人が、簿記なんて持っていても、資格手当は大してつかないから意味はないというようなことを述べていました。

 言わんとしていることは、わからなくもありません。私も、資格なしで有資格者と同じぐらい稼げていたら、それはそれで凄いことだと思います。でも、この方が簿記の資格なしでこの発言をしたとすれば(多分そうだと思いますが)、それは有資格者に対して失礼ではないですか。

 また、気鋭の若手経営学者なる人が、就活生で苦戦している学生について、「そういう者に限って、簿記2級や英検準1級を持っている。」等、かなり小馬鹿にした表現をしていました。これも、言わんとしていることは、わからなくもありません。難関資格ならともかく、難関一歩手前の資格をたくさん持っていても、(中途採用なら少々違うかもしれませんが)新卒での就活は、「決定打」にはなりづらいかもしれません。でも、この方が、簿記2級や英検準1級を持っていなくてこの発言したのであれば、「取ってから言ってください。取ってから。」と、私は言いたくなります。

 学歴が高くない人が学歴なんて意味がないと言うと、「受かってから言えよ。」と反論されます。私は、長年資格に携わってきましたので、高学歴でなくても地頭の良い人を、数えきれないぐらい見てきました。そもそも、私は、中堅の大学の学生・卒業生の3分の2は、当人にやる気と要領の良さがあれば、上位大学へ入れると思っています。「そういう潜在能力の話をしても仕方ない。結果がすべて。」と言われれば、確かにそうです。でも同じことが、資格の世界でも言えるのではないですか。簿記、宅建、行政書士クラスの資格を馬鹿にする人は、得てして高学歴の人が多いです。「司法試験予備試験や公認会計士ならともかく、簿記、宅建、行政書士程度なら、自分でも合格できるだろう。」という意識があるのでしょう。でも、学歴と一緒で、「そういう潜在能力の話をしても仕方ない。結果がすべて。」なのです。学歴の世界では認められる理屈は、資格の世界でも認められなければいけません。

 「簿記なんて大したことない。」「宅建なんて大したことない。」「行政書士なんて大したことない。」それは、取得してから言うべきです。厳しい表現になりますが、たとえどんなに高学歴であっても、資格と言えば普通自動車運転免許ぐらいしか持っていないのであれば、難関一歩手前の資格の有資格者を馬鹿にしたり、揶揄したりするべきではない、と私は強く思います。