2024/7/3
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現行基準では司法書士試験に合格率2%台だった時代はない |
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私が司法書士試験の勉強を始めたころは、合格率が2%台と言われていました。ところが、平成18年から、合格率が3%台になりました。これには大きな理由があります。 それは、平成17年までは、出願者数と合格者数で合格率を算出していたのですが、平成18年以降は、出願者数と合格者数だけでなく、午前の部と午後の部の両方を受験した受験者数も公表した上で、受験者数と合格者数で、合格率を出しているのです。願書を出しても受験しない人は大勢いるので、平成18年以降の算出方式ですと、当然、合格率が上がります。ちなみに、最初にこの方式を採用した平成18年は、出願しても受験しなかった人が、5600人もいて、出願者の17.5%が受験していません。令和5年は、出願者の20.4%が受験していません。出願しても、これだけ受験していない人がいれば、合格率は上がります。ですので、平成17年以前の試験を現行方式で算出すると、合格率が2%台だった年は、まずないはずです。仮に平成17年の受験者数が、平成18年と同じ割合であるとすると、合格率は3.45%ととなり、平成18年とほぼ同じになります。 ところが、平成17年以前に合格された方で、未だに自分が合格した時は合格率2%台だったのに、今は合格率がかなり上がった、という方がいらっしゃいます。ご丁寧にも、算出方法の変更はスルーして(知らないのでしょうが)、SNSに合格率の推移まで挙げている方もいらっしゃって(苦笑) いやいや、貴方が合格した頃とは、算出方式が違うのですよ、もうこの方式になって20年近くになるのですから、そろそろ気付いていただいた方が…と突っ込みたくもなるのですが、敢えて説明するのも野暮なので、自分が合格した時は2%台という発言をした人にリアルで遭遇した時は、私は黙っていることにしています。 ちなみに、この平成17年から18年にかけて、司法書士試験は、大きく変わりました。それは、会社法の施行により、旧商法での出題だった平成17年よりも、会社法で出題されるようになった平成18年以降の方が、択一式の会社法、商登法、記述式商登法が、格段に難化したとことです。旧商法よりも会社法の方が難しいのは、旧司法試験から予備試験に転向して合格した者も認めています。そして、会社法は司法書士試験が資格試験の中で最も難しいというのは、資格試験の世界では定説となっています。 平成17年以前は、司法書士試験の午前の部では、旧商法が最も点数が取りやすい科目でした。今はその逆で、会社法を最も苦手にしている受験生が多いと思います。平成17年は、記述式のボリュームが増え始めた頃ですが、記述式も現在の試験の方がよりボリューミーで、格段に厳しいです。トータルで考えても、現行試験の方が、平成17年よりも、数段厳しい試験です。その面からも、合格率が上昇するのは、当然のことだと思います(試験会場数の減少による地方の試し受験組の減少も、その一因であるのは、先述のとおりです。)。 多分、現行試験を再受験していただければ、現在の合格率に納得していただけるかと思います。 |
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