2024/6/21

匿名掲示板で合格者に見える者の6割は合格者ではない

 私がネットを始めたのは2001年で、匿名掲示板を初めて見たのも、その頃でした。司法書士についての掲示板を見たところ、かなり滅茶苦茶だな、と思いました。当時、LECで5年ほど教材制作のキャリアがありましたが、そのプロの目から見ても、どうしようもない、滅茶苦茶な書き込みが多いと思い、資格関係、特に司法書士試験の掲示板は、合格するまで、殆ど見ませんでした。

 かつての匿名掲示板の有用性は否定しません。昔は、どうしようもない書き込みの中にも、キラリと光る情報もあったりして、玉石混合ながら、そこから良い情報を拾うのも面白さでした。ですから、趣味に関しては、時々閲覧していました。

 しかし、時代は変わりました。岡田斗司夫氏が、以前は荒らしに対して、まあまあとなだめるような良心的な人がいたが、その人たちが去っていき、よからぬ人たちだけが残った、良心的な人たちは、細々と自分のSNSで情報発信するようになった、というような趣旨を、自身のYouTubeで発信していました。その指摘は、鋭いと思います。

 私は、以前は、司法書士の掲示板で合格者に見える人の4割は、合格者ではないと思っていました。合格者を詐称するというよりは、意図的に合格者であることを曖昧にして、あたかも合格者であるような発言をし、合格者である雰囲気を醸し出しているのです。ベテラン受験生が、自分も一家言残したい、でも、堂々と合格者だとは言えない、だから、意図的に合格者であるかは曖昧にしながら、合格者のように振る舞うのです。多分、司法書士をはじめ、難関資格の掲示板で合格者のように見える人の4割が、合格者ではないと思っていました。

 しかし、良心的な人たちは徐々に匿名掲示板から去り、よからぬ人の割合が増えました。現在、私は、難関資格の掲示板で合格者のように振る舞っている人たちの6割は、合格者ではないと思っています。特に、相手を平気で「馬鹿」「頭が悪い」等、高圧的に口汚く罵る人たちの9割は、合格者ではないと思っています。

 匿名掲示板に書き込む難関資格の合格者も、一部いるとは思います。でも、本当に受験生に対して良いアドバイスをできる合格者は、匿名掲示板には、書き込まないと思います。そのような合格者は、慎重だと思います。

 特にまずいのが、試験批判です。試験批判をやりだすと、本当に合格できません。試験はどんなに理不尽でも、相手(試験委員)の土俵の上で戦うしかないのです。その土俵をおかしいと非難し続けると、土俵の上で正々堂々と戦っている合格者予備群に、到底太刀打ちできません。匿名掲示板で特に良くないのが、試験批判の割合が多いことです。試験批判を書き込めば、多くの賛同者が現れます。そうやって、負のスパイラルが続きます。その輪に入ってしまうと、なかなか抜け出せません。

 おそらく、今年の7月7日の司法書士試験の直後の掲示板は、試験に対する罵詈雑言で溢れかえるでしょう。しかし、試験批判を書き込んだ人、その書き込みを見て留飲を下げた人の大半は、よほど心を入れ替えない限り、永久に合格できないと思います。

 私は、ベテラン受験生は、合格するまでは情報発信を控えるべきだと思っています。私自身、超長期合格者でしたが、ベテランは、問題を抱えているから、長期間合格できないのです。その問題を解決せずに書き込みをすると、他の受験生に良くない情報を提供する可能性があります。合格した上で、何が問題で長期受験となり、どうやって問題に気付き、どう対処して合格したか、匿名掲示板にではなく、名前を出して発信すれば、それは受験生にとても役立つ情報になると思います。ですから、ベテランこそ、合格するまでは情報発信は差し控えるべきです。私も合格するまでは、情報発信しませんでした。

 以上を踏まえ、受験生でいるうちは、少なくとも難関資格については、匿名掲示板で情報収集をしない方が良いのではないか、というのが、私の意見です。