2024/6/10
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日本人の相続・遺言に関する意識の調査 |
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MUFG相続研究所所長の入江誠氏の執筆による、KINZAI Financial Planの2024年4月号における、日本人の相続・遺言への意識と相続リテラシー(1)という記事が、なかなか興味深いものでした。 インターネットによる5152名に対する相続に関する意識調査で、対局的な二つの意見を提示し、どちらに近いか尋ねたもので、後継者が単独で相続を受けるより、子供には均等に配分する方が良いとする意見が多い一方で、不動産については後継者が単独で相続し、金融資産は残りの相続人で平等に分配する方が良いとする意見が多く、さらに、被相続人たる親と同居や介護をした者に多く渡した方が良いという意見に72.2%も賛同していました。何となく、日本人の感情に即してはいるように思います。 不動産そのものは、被相続人たる親と同居や介護をした者に相続させ、他の子はそれを了承する場合が多いとは思いますが、その相続しない他の子が被相続人たる親よりも先に亡くなった場合が問題で、その場合、相続しない子の子(被相続人からみて孫)が代襲相続をすることになります。私が相談を受けた事案では、その孫の親権者である、先に亡くなった相続しない子の配偶者が、こちら(被相続人の孫)にも権利はあるので検討したいと、遺産分割協議に進むのを保留したことがあります。適式な遺言が作成されていれば問題なかったのですが、法定の要件を満たさない自筆証書遺言でしたので、面倒なことになってしまったという事案でした。 先の調査によると、遺言については、42.9%が必要と考えているものの、作成済み・作成中は6.6%でした。遺言が必要と感じながら作成していない理由で最も多かったのは、「もう少し先の話だと思から、まだ早いから」の58.1%で、これも、まあ、そんなところだろうな、と想像できるところです。しかし、先に挙げたような事案もありますので、適式に遺言を作成することをいかに啓蒙するかが、司法書士の命題だと思います。 |
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