年金分割の基礎知識

　離婚した場合、（主に）夫の年金を分割して妻が受け取れるという年金分割について、概念的には知っている方は多いかと思います。今回は、一歩踏み込んだ基礎知識をご紹介したいと思います（KINZAI Financial Planの2023年7月号における、鶴岡大輔弁護士による離婚Q＆Aを参考にさせていただきました。）。

　年金分割は、年金制度のうち（共済年金を含む）厚生年金保険部分について、婚姻期間中に納めた納付記録を最大50％で分割する制度です。ここで重要なのは、あくまでも年金分割の対象となるのは、厚生年金保険部分であり、国民年金部分は対象とならないということです。ただし、財産分与の対象にはなるため、国民年金加入者の場合、財産分与で老後資金を考慮することになります。自営業者の方は、その点、要注意です。

　民間の保険会社で年金型の保険に入っている場合、年金という名前がついていても、現実には保険契約なので、国民年金同様、年金分割の対象とはならず、財産分与の対象となります。この場合、保険会社に財産分与基準時点の解約返戻金試算額を算出してもらい、その半分を分与していくことになります。