2024/5/14

推定相続人の配偶者が厄介な人の場合

 長男が親と同居して親の面倒を見ていて、他の兄弟が別居して親の面倒を見ていない場合において、兄弟間では、長男が親名義の不動産を相続することに同意している場合を想定します。その場合において、親の面倒を見ていない兄弟の配偶者が、こちらにも権利があることを主張すべきだ、とけしかける、そんなドラマのような事案があります。私自身、親と同居している者から相談を受けたことがあります。

 この場合の対処法としては、親に、面倒を見ていた子が不動産を相続する旨の遺言を作成してもらうべきです。ただし、他の兄弟にも遺留分はありますので、他の兄弟には、金銭等、遺留分相当の財産を相続する旨も、遺言に必要です。

 また、私が相談を受けた別の事案として、兄弟の一人が親と同居して親の面倒を見ていたが、介護費用が過大にかかっており、親の生前からの資産の使い込みが強く疑われたことがありました。どうやら、親の面倒を見ていた兄弟の配偶者がかかわっていたようです。この場合、使い込みをされてしまったら、その分を取り返すのは、困難です。正当な介護費用を上回る使い込みを防ぐには、介護をしている兄弟と連絡を密にすること、介護費用の明細をオープンにしてもらうことです。その上で、遺言がなければ、介護をしていた者が報われる遺産分割協議をするべきでしょう。

 私が受けた上記相談は、いずれの兄弟も気が弱く、配偶者にコントロールされやすい事案でした。推定相続人の配偶者に厄介な人がいる場合は、親に早めに遺言を作成してもらう等、先手を打っておく必要があると思います。