2024/5/13

行政書士試験の合格率は高止まりするか?

 私は予備校の仕事をしていますが、今回は予備校とは関係なく、私個人の意見として書きます。

 以前書いた「令和5年度行政書士試験の合格率約14%は適正か?」という記事ですが、最近、かなりの閲覧数があります。私は、絶対評価を廃止し、合格率11.0%を基準に、10.7~11.3%の相対評価にするべきである、と書きました。この数字は、あくまでもこれ以上は増やすべきではない、という意味です。本当は10.5%ぐらいを基準にしても良いと思っています。何故かといいますと、私は平成30年から令和4年までの5年間、模試等の記述を何千通も添削をしていたため、受験生のレベルをよく知っているからです。12%を基準にしてしまうと、法律家と呼ぶには厳しいかな、という人たちまで合格させてしまう危惧があります。合格率11.0%を基準に、10.7~11.3%の相対評価にするべきである、というのは、妥当な数値であると思っています。

 問題は、近年の高い合格率が続くかですが、そこは何とも言えません。司法書士試験は相対評価なので、内容の易化になりますが、易化は単年で終わる場合もありますし、長くても3年という印象です。行政書士試験は合格率が高い年が令和4年、5年と2年続いたので、令和6年まで易化が続くかは、微妙なところです。少なくとも令和6年までは続くかな、という気もしますが、近い将来、令和2年、3年のような、約11%という適正値に戻る可能性は十分あると思います。

 受験対策としては、令和2年、3年のような、約11%になると想定しておいた方が無難でしょう。合格率がかなり高い年の超短期合格者がSNSで勉強法を披露していたのを読みましたが、申し訳ないですが、よくその程度の勉強時間と内容で合格できたな、と思いました。その方が超短期合格できたのは、勝負をかけた年の合格率がとても高かったからです。合格率が10~11%の年でしたら、不合格だった可能性が高いと思います。YouTubeでも、合格体験を語るものが多くありますが、その方の合格した年の合格率を調べた上で、勉強方法をどの程度取り入れるかは、しっかり吟味した方が良いでしょう。

 最後に、もし令和6年度試験の合格率が下がれば、ネットの世界では、怨嗟の声で埋め尽くされるでしょう。私はネットの掲示板はあまり見ませんが、高い合格率だった令和5年度試験でさえ、試験に対する不満を見かけました。司法書士試験など、毎年のように、試験問題に対する受験生の不満の嵐です。しかし、試験がどんなに理不尽であっても、受験生にはどうすることもできません。どうしても不満なら、撤退するしかありません。撤退しない以上は、試験委員の土俵の上で戦うしかないのです。受験を続けるのでしたら、試験に対する不満は一切口にしないことです。他人の書き込んだネットの試験批判を読んで、留飲を下げるのも好ましくありません。私は、試験科目に憲法がなく、記述のボリュームが今の半分未満の頃からの司法書士受験生でしたので、今の試験との負荷の違いに強い不公平感を抱いていました。しかし、受験晩年は、試験委員の土俵で戦うと割り切りました。結果的に考え方がシンプルで前向きになり、合格を引き寄せたと思っています。試験批判は、合格してからにするべきだと思います。