2024/3/27

相続土地国庫帰属制度による承認数(令6.2.29現在)

 昨年4月27日から相続土地国庫帰属制度が開始され、1年弱が経ちました。相続により取得した土地が不要な場合、国庫に帰属させる、つまり、国に引き取ってもらう制度です。主に、利用価値も利用する目的もない土地を相続した場合に問題となる制度です。今は住んでおらず、また、今後も住む予定もない田舎の土地を相続した場合などが想定されます。実際、私も、そのような事例で相談されたことがあります。

 この制度は要件が厳しく、実施当初から、現実にはあまり認められないのでは、と言われていました。1年弱経って、どの程度認められたのでしょうか。

 法務省のHPによりますと、令和6年2月29日現在で、申請件数1,761件で、承認されたのが、150件です。割合にして、約8.51%と、1割に満たない数字です。却下6件、不承認9件、取下げ183件で、取下げには自治体や国の機関による土地の有効活用が決定した、隣地所有者からの土地の引き受けがあった等、ポジティブな例もあり、決して却下や不承認が多すぎるというわけでもありません。いずれにもあてはまらないものが1,413件であり、審査に時間がかかるというのが実態に思えます。

 上記数値により、承認数を少ないとみるか、言われていたほどは少なくないとみるかは難しいですが、事前の相談で要件を満たさない場合はある程度は除かれていることを考慮すれば、決して多くはないというのが、私の感想です。

 制度そのものは、良い制度だとは思いますが、いかんせん、要件が厳しすぎますし、時間もかかります。却下や不承認でも手数料(14,000円)は返ってきませんので、法務局や司法書士への事前の相談は、やはり重要かと思います。