2024/3/11

司法書士による離婚調停支援

 司法書士は、裁判所の提出書類の作成が可能です。司法書士が行う代表的な裁判所の提出書類には、相続放棄申述書があります。ほかには、手掛けている方は多くはありませんが、離婚調停の申立書類があります。私が研修でお世話になった女性の司法書士の先生が、この離婚調停の書類作成業務を行っているそうで、司法書士は調停そのものには参加できないため、希望があれば、裁判所の調停室までの付き添いは行っているとのことでした。

 そいういったお話を伺うと、興味はあるのですが、紛争の度合いが強い場合、費用はかかっても、弁護士を雇わずに本人が調停に臨むよりは、腕の立つ離婚専門の弁護士に任せた方が良いのでは、という気持ちもあります。

 実際、私の身近でも、腕の立つ高名な離婚専門の弁護士事務所にお願いし、かなり有利な形で調停を成立させた例があります。そこで、別の離婚の案件で、その事務所を紹介したところ、やはり、かなり有利な形で調停を成立することができました。ただし、費用は相場よりもかなり高額でした。

 司法書士による離婚調停支援について、市民と法145号において、司法書士渋谷陽一郎先生による、「司法書士の紛争解決支援業務における5号相談の活用(1)-離婚調停支援を例にして-」という記事が、詳細で、とても勉強になりました。

 渋谷先生は、やはり弁護士費用が本人にとって懸念材料となることについて、触れていらっしゃいました。そして、「弁護士による離婚調停支援の場合、依頼者に対する説得が、紛争解決のための一つの技法として重視されている。」「これに対して、司法書士が、利用者に対して説得することは可能なのかという論点はある。法律整序相談として考える限り、司法書士の判断(見通し)に基づいて本人を説得するのは、抑制したい(専門家の見通しが誤る場合があるし、相談段階では、正確な事実関係を把握できない場合もある)。代わりにリスク説明を行うべきである。説得ではなく、情報提供とリスク説明を行うことは、手間と時間がかかることであるが、本人の納得という観点からいえば、説得よりも優れている。」と述べられていました。

 司法書士は、離婚調停において、調停そのものには立ち会えないので、書面作成と相談による支援となりますが、情報提供とリスク説明が肝要であるということは、勉強になりました。事件の依頼があれば、この視点で臨みたいと思っています。