2024/3/8
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遺言内における背景事情 |
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遺言の基本は、「誰が、誰に、何を相続(若しくは遺贈)させるのか。」これが基本であるとされています。この点がはっきりしていないと、遺言の意味はなさないと思います。では、「誰が、誰に、何を相続(若しくは遺贈)させるのか。」が書いてあれば、それで良いのでしょうか。 この点につき、市民と法145号において、一般社団法人日本財産管理協会代表理事の司法書士大池雅実先生による、「司法書士が行う財産管理-遺言書作成支援業務における創意工夫-」という記事に、興味深い記載がありました。 「さらに具体的な背景事情を記載することでご依頼者本人しか知らないような情報を盛り込ませることができるし、遺言書作成時にご依頼者は遺言能力(民法961条)を備えていたことを推認させることができ、遺言無効の主張に対する極めて有力な武器になると発言する弁護士もいる。」 これは深いですね。正直、ここまでは思い至りませんでした。遺言で争いになりやすいのは、遺言時に認知症等になっていたか否かという遺言能力の問題です。勿論、遺言能力があることを証明する医師の診断書があればベターですが、遺言者がそこまで高齢ではなく、診断書まで取得するか微妙な場合に、有効な手段だと思いました。遺言の趣旨を損なわないように、支援者たる司法書士の原案における文章作成力も必要となりますが、これは有効に生かしたいと思いました。 |
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