2024/1/29
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「取り敢えず法定相続登記」の危うさ |
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最終的には依頼者様のご希望に沿う形にしたいと思いますが、当事務所は、法定相続分による登記は、あまりお勧めしません。 わかりやすい例でご説明します。高齢の両親と成人した長男と長女がいて、長男夫婦が両親と同居、長女が結婚して独立した例で考えてみます。この場合で、両親と長男夫婦が住む父親名義の土地と建物があり、父親が死亡したとします。この例の法定相続人と法定相続分は、母が2分の1で、長男・長女が各4分の1です。このまま法定相続分で登記することは、珍しくありません。特に家族の仲が良くない場合、遺産分割協議が困難で、「取り敢えず法定相続分なら我慢できる。」とばかりに、法定相続分で登記することが珍しくないのです。 しかし当職は、この事案ですと、「不動産は子の一人(順当にいけば長男でしょう。)のみが相続し、その分、現金、有価証券、貴金属等、不動産以外の財産は、それ以外の者が多く相続する遺産分割協議をした方が良い。」という提案をします。 その理由として、まず、老齢の母親についても、遠からず相続が起きることを考えると、母親の相続登記を避けることができます。また、長男、長女に相続が起きた場合、不動産の名義人が、更に増えることになります。特に、長女に相続が起きた場合、長女の相続人は、住んでもいない不動産の共有名義人となり、固定資産税も払わなくてはならなくなり、面倒なことが増えるだけです。また、長男、長女の相続人に海外在住の者がいれば、遺産分割協議も面倒になります。このように、不動産の共有名義人が増えると、面倒が増えてデメリットが多い、と考えて良いかと思います。 ケースバイケースでもあり、場合によっては税理士の意見を参考にする場合もあるかとは思いますが、「取り敢えず法定相続登記をすればいいだろう。」というのは、安易にはお勧めしません。 |
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