2024/1/21
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相続開始時についての誤解 |
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昨年、ほぼ同時期に、同じような内容の相談がありました。相談者の方の親御さんが介護施設に入所している、あるいはこれから入所する予定であるという場合において、介護施設に入所するレベルで身体が衰弱していると、もう相続登記ができると誤解されている方が、複数名いらっしゃいました。 相続開始時について、民法882条は「相続は、死亡によって開始する。」と規定しており、相続が開始するのは、あくまでも死亡した場合です。単に身体が衰弱しただけでは、相続登記は申請できません。 また、親名義の不動産を売却して、介護施設への入所費用に充てたい場合、まだ相続登記ができないのですから、名義人である親御さんが、直接不動産の売買の売り主となって、売買を原因とする所有権の移転の登記が申請できることになります(認知症等を発症していて意識に障害がある場合、成年後見人等の選任が必要となります。)。その前提として、子供に登記名義を移転する必要はありません。贈与によって子供に移転することも可能ですが、贈与税もかかりますし、特にそのような必要はありません。 子供が主導して不動産の売却等の手続を進めるには、事前にその子に不動産の名義を移す必要があると思っている方がいらっしゃいますが、そのような必要はないことを知っておいていただけたら、と思います。 |
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